トロントでザ・フーを観た話。

DAIMYO様

はじめまして。

この8月から米国バッファロー市に留学に来ているツツイケンタと申します。10年ほど前、エッグマンでキース・ムーン追悼コンサートをやってたころに2度ほど観客として参加させてもらってました。

さて、今般、9月28日、ザ・フーの北米ツアーの最終日であったトロント公演(@エア・カナダ・センター)にいってまいりましたのでご報告させてもらいます。

まだ日本にいたころに、ネットでチケットを取ったところ中央アリーナ14列目が取れました。「これはなんとしてでもいかなくては」と、ここ2ヶ月間ほど意気込んでまいりました。いま住んでいるバッファロー市はカナダ国境沿いの街であり、トロントまでは車で3時間ほどの距離です。行きの車では当然ザ・フーのCDをかけまくり、です。

実はザ・フーを観るのは今回が2回目。前回は6年前、96年6月に再結成しハイドパークでQUADROPHENIAを演った時、会社をさぼってロンドンまで飛び観てきました。但しこのときはゲストも入り混じりQUADROPHENIAのアルバム全曲をやるという大規模な企画物でした。ピートは基本的にアコギで、演奏したり、しなかったり。もちろんこれはこれで最高に良かったのですが、ライブアットリーズが大好きなボクはインタープレイの無さに少々物足りなさを感じたのも事実。

しかし今回は違いました。前回が譜面通り演奏した「企画物」的印象が強かったのに対し、今回は間違いなく「バンド」としてのザ・フーでした。バンドをやったことがある人間なら必ず体感したことのあるアノ「バンドとしての一体感とそこから生み出されるグルーヴ」がみなぎっていたのです。ピートタウンゼンドも真剣そのもの。赤いストラトを魂を削って演奏していた。これぞロック!ウィンドミルをバッシバシ決めてくれました。こんなかっこいいジジイにボクもなりたい。

ロジャーダルトリー。歌は相変わらずでした(笑)。でもそこがいいってことはザ・フーファンとしては当然わかってるわけです。マイクまわしまくり。またAmazing Journeyでは往年のリード・タンバリン(笑)を披露してくれました。

そしてサポートメンバー。ラビットが良いのは当然。96年ころから固定メンバーであるザックスターキーのドラムスも、下手にキースムーンを意識することなく持ち味を発揮していました。すっかり演奏にハマっており(かつての再結成時のサイモンフィリップスのような)違和感をまったく感じさせません:間違いなくバンドの一員です。Won't Get Fooled Againでのドラムブレイクは圧倒でした。そして注目のピノパラディーノ。ピートがメンバー紹介の時に「ジョンがいなくなった大きな穴を埋めるのを、恐れることもなく好意的に請けてくれたことに感謝している」といった趣旨のことを言ってました。たしかに音は違う。でもイヤミがまったくない。出るところは出る。間違いなくザックとともにザ・フーのグルーブを生み出していたと思います。

1万3千人の観客も素晴らしかった。とにかく反応がすごくよい。たとえば近くにいたヒッピーのようなオヤジ...子供のように一曲ごとに喜びを隠し切れずはしゃいでました。隣にいた20歳そこそこの若造。全曲一緒に歌って叫んでました。そしてもちろんボクも。ステージの演奏と観客の反応が相乗効果を生み出していたように思います。

テンションが張りまくった2時間15分、本当に一瞬たりとも演奏がだれることがなく(!)、ザ・フーの健在さをアピールし、ツアー最終日にふさわしい公演だったのであります。

これでジョン・エントウィッスルがいてくれれば、と誰もが思ったことでしょう。でもこれだけは仕方ありません。今回は本当に良いショーが出来て天国で喜んでいるはずです。

DAIMYOさん、バンドとしてのザ・フーは健在です!

それが伝えたくてメールしました。

 

それでは。

ツツイケンタ 2002/10/2

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